ブレンドとシングルオリジン
シングルオリジンって何?
コーヒーにハマると耳にする「シングルオリジン」。スペシャルティコーヒー時代には欠かせないキーワードです。
シングルオリジン(シングル)とは、簡単に言うならば「どこの誰が作ったか分かるコーヒー」のこと。
つまり、それは一つの「農地(区画)」、「農園」、「集落」だったりします。「地域」、「地区」まではなんとかシングルといえるでしょうか。
「国」までいくとシングルとは言えません。なぜなら国中のコーヒー豆と混ぜられるからです。どこの誰が作ったものか遡れなくなります。
今はコーヒーに限らず、野菜や果物などでもそういった動きがよく見られますね。SNSとも相性が良いのでしょう。
シングル至上主義に一石を投じたい

それはそれでいいのですが、なんとなくこんなイメージないですか?
シングルはブレンドより高価で高品質?
もちろんそうは言えませんね。
たしかに、それなりの素材を使わないとシングルとしては物足りなくなりがちなのは否めません。
(そこを腕で何とかするのが楽しみでもありますが)
そして、個々の素材がパッとしなくても、ブレンドになると何とも良いハーモニーを奏でることもある。これもまた事実。
バンドみたいですね。この3人じゃないとこの音は出ない!みたいな。
しかし、ビートルズのようにどういうわけか天才が4人も集まってしまったモンスターバンドもあります。
もちろんポール・マッカートニーのソロも素晴らしいですが、やっぱりビートルズはビートルズですよね。
コーヒー作りはほとんどの工程が「引き算」
話をコーヒーに戻しましょうか。
実は、ブレンドというのは焙煎士が出来る唯一といっていい「足し算」なんです。
というのも、コーヒーは収穫からカップに注がれるまで、ほとんどが引き算で成り立っています。

僕はコーヒーとは料理と考えますが、他の具材と合わせたりソースをかけたり出来ない点で、他の料理とは決定的に異なります。
無限のポテンシャルを秘めた生豆。われわれ焙煎士はその中でもどこを引き出してやるか考えます。
「ボディがどっしり強そうなので深煎りにしよう」とか「繊細な香りが魅力だから中浅煎りにしよう」とかですね。
この選択こそが引き算です。無限のポテンシャルから「ここだ!」というポイントを引き出すわけですから。
ここに焙煎士のセンスが出るんです。コーヒーを飲んで「焙煎士はここに感動してこれを引き出したかったんだ」ってのが伝わると、とても楽しいですよ。
われわれ焙煎士(バリスタなども)それが伝わったのが分かると、本当に嬉しいんです。
だから美味しいと思ったら「香りがいいね」とか「落ち着く味だね」とか、伝えてみてくださいね。
コーヒーは写真と似ている

コーヒーは写真とも似ています。目の前に広がる景色の、どこにレンズを向けるかは千差万別。
ここに撮影者のセンスが出ますよね。「写真は引き算」とはよく昔からよく言われることです。
写真は、シャッターを押すだけ。コーヒーも、熱を加えるだけ。
これ以上なくシンプルです。しかしシンプルと簡単は違います。
シンプルながら奥が深いのも、よく似ていますね。
めちゃくちゃ遠回りしましたが、ブレンドは足し算
コーヒーとはいかに引き算かを回りくどく語ってきました。お分かりいただけたでしょうか?
引き算ばかりだからこそ、ブレンドという足し算は焙煎士にとって新鮮な楽しさがあります。
まずはピアノソロから静かに入り、そこに歌声が乗り、サビで一気に盛り上がる。ギターソロでも一花咲かせる。
特に年に数回出すLimitedブレンドでは、こんなことを考えながら楽しく作っています。

しかしLimitedはそう毎月つくれるものではありません。
それとは違った方向性で、定番ブレンドをほとんど常時ご用意しています。
これは、いつでも帰ってきたくなる自宅のようなブレンドです。
良い意味で「空気のような人」とも言えるかもしれません。
何かが突出しすぎることのない、何の邪魔もしない落ち着きのあるコーヒー。
- 1,850円 [税込]
〈まんなか〉シリーズは、苦くもなく酸っぱくもなく、とっつきやすさが持ち味です。 どんなときにも寄り添ってくれる優しいコーヒー。 お手元に一種類は置いておきたいのがこの〈まんなか〉です。 ーーーーーーーー “Mild Reverb” 〈まんなか〉の中の〈まんなか〉的な位置づけ。 カドというカドと取った、まんまるなブレンドです。 万人ウケしすぎて、八方美人とも言えるくらいかもしれません。 迷ったらコレを一つ選んでおけば安心です。 ※ご注文から4〜5日を目安に発送いたします。 ※…
- 1,900円 [税込]
〈こくぶか〉シリーズは、深いコクと豊かな余韻が持ち味です。 深煎りでも苦味が前面に出すぎないのが当店の大きな特徴の一つ。 「この深煎りは他では飲めない」とのお声多数で、人気商品となっています。 ドリッパーはコーノかメリタがオススメで、より〈こくぶか〉の持つコクを引き出せます。 ーーーーーーーーー 「Deep Reverb」 世界の一大産地グァテマラ・アンティグアで130年以上続く老舗農園の、 原種に近い品種「ブルボン」をメインに使っています。 このブルボンでも十分美味しいの…
だからこそ、旬の売り出しコーヒーの陰に隠れがちでもあるのですが…
旬のコーヒーと定番ブレンド、バランスよく飲めるセットでも作ろうかなあ。