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コーヒー情報

磁器・陶器製コーヒードリッパーはいいぞ。

湯たんぽから得たヒント

今年に入ってすぐ、とても良い出会いがありました。

洗ったばかりで濡れた写真しかありませんでした…

メリタの波佐見焼ドリッパーです。磁器製。陶器じゃないよ。

購入のきっかけになったのが「湯たんぽ」。

山の古民家の冬は厳しく、そして寝室に暖房もないため、湯たんぽを布団に仕込んで寝ます。

テキトーなナップサックに詰めて背中を温めていましたが重かったです。亀仙人の修行か。

最初はよくあるプラ製のものを使っていましたが、あるとき目についた陶器湯たんぽに手を出しました。

これがなんとも幸せな温かさ…

陶器湯たんぽは、足元に入れたら胸のあたりまで温かく、体の芯までじんわり温まるのです。

厳しい寒さの古民家は、風呂に入って寝るのがそれまでは過酷な時間でしたが、陶器湯たんぽのおかげで一気に楽しみルーティンとなりました。

今年の冬も「やっぱ陶器湯たんぽええなあ」となっていたところで、思いついたのです。

「ドリッパーも陶器がええんかな…でもいくつか試して微妙だったしな…」

陶器じゃなくて、磁器はまだ試してないんじゃない?

ティピカ
ティピカ

急に出てくるやん!でもたしかに!

店主
店主

そこで白羽の矢が立ったのが「メリタ波佐見焼ドリッパー」。磁器製です。陶器ではありません。

メリタは去年から当店でも推しているドリッパーです。

理由はとにかくカンタンに淹れられてブレもない、いつでも美味しいコーヒーを保証してくれるからです。

ある程度自由にドリップしたい中級者になると、自由度の少ないメリタはあまり手に取られない印象があります…

が、そこよりもある程度進むと「いいんだよこれで」と言える頼もしい味方になります。

波佐見焼メリタとプラメリタの比較をしましたが、正直雲泥の差です。

ここまで違うものかとビックリしました。

磁器・陶器ドリッパーのメリット

保温力に優れる

陶器・磁器は熱伝導率が低い、つまり温まりにくく冷めにくい材質です。一度温まれば、ドリッパー内を外の冷気から守って高温状態を保ってくれます。

特に室温の低い冬季や、風の影響を受ける屋外では大きなメリットがありますね。

遠赤外線効果が粉の中心まで温める

陶器湯たんぽが体の芯まで温めてくれるのは遠赤外線効果のおかげです。

それと同じように、陶器・磁器ドリッパーも粉の中心までしっかり熱を加え、美味しい成分を抽出するサポートをしているのではないか、と考えられます。

これは実際飲んだ印象とも重なります。

磁器ドリッパー(メリタ)の味わいの特徴

より深いコク、滑らかさ

プラのドリッパーを着古したTシャツのスカスカした感触だとすると、磁器はしっとり重みのあるベルベット…とまでいくと言い過ぎでしょうか?

でも舌触りの違いを分かりやすく伝えるならそんな感じです。同じ豆でもかなり変わります。

味わいもより緻密に

眼科や眼鏡屋さんで目の検査をするマシン、ありますよね。台の上に顎を乗せて、遠くの気球をみるやつ。

プラドリッパーがボヤけた気球だとすると、磁器ドリッパーはピントのハッキリした気球です。

「気球っぽいのが見えるな」と「これは完全に気球!」くらい、味のクリアさに違いがあります。

クリアすぎて嫌というところがなく、優しさの中にメリハリがあるのが大変よろしい。

その説明って伝わるの?

ティピカ
ティピカ

これ読んで実際に試してくれたら、きっと伝わる!感動モノだぞ。

店主
店主

メリタだからこそ?

メリタは数あるドリッパーの中でも、特別ゆっくり落ちます。つまり、注いだお湯がドリッパー内にとどまる時間が長いということです。

だからこそ、磁器によるメリットも他のドリッパーより大きいのでは?とも見ています(要検証)

陶器・磁器ドリッパーのデメリット

予熱をする必要がある

前述の通り、磁器・陶器は温まりにくく冷めにくい素材です。そのため、予熱せずにドリップを始めてしまうと、粉に伝わるべきお湯の熱がドリッパーに吸われてしまいます。

そのため、味の出が悪くなりむしろ逆効果となりますので、予熱が面倒くさいときは素直にプラスチックのドリッパーを使いましょう。

重い

単純に重いです。参考までにプラメリタは51g、波佐見焼メリタは268gです(共に1杯用)。

特に慣れるまでは取り回しには少し気を使うかもしれませんね。

マグカップに直接乗せられないことが多い

やや細かい話になりますが、ほとんどのプラドリッパーはカップに乗せても空気が出入りする隙間が出来るよう突起などが施されています。

磁器・陶器には製造上の都合でそのような突起などを施すのが難しいようです。

そのため、そのままカップに乗せると空気が十分に通らなくなり、抽出効率が落ちます。

注ぎ口のついたサーバーであれば、ここから空気が逃げますので美味しく淹れられます。

もちろんドリップスタンドを使うのもアリですよ。このように。

磁器メリタと陶器メリタも比べてみた

マニアックすぎると思われるかもしれませんが、当店はここまでやります。興味の向くままに!

左が陶器、右が磁器。

重さや質感などは大体同じですが、やはり磁器のほうがツルッとしています。

作られた時代の違いもあり、ドリッパー内の角度のつき方は若干異なります。

そのあたりも考慮に入れながら、飲み比べた結果は次に続きます。

陶器はダメなの?

率直に書きますが、ご容赦ください。

僕が今まで試した中ではピンとくる陶器ドリッパーはありませんでした。

ちなみにいうと、陶器コーヒーカップについてもほとんど同じ印象です。

(多くの方から反感を買いそうなのであまり書きたくないですが、正直が信条なのでお赦しを。)

具体的に言うと、磁器で感じられた舌触りの緻密さは、陶器では感じません。

陶器独特のザラッとした感じ、舌にしっかり乗ってこない感じ、味同士がバラバラッとまとまらない印象。

…といいつつ、僕の舌が繊細すぎるだけの気もします。気に入ったものがあれば陶器製でもいいかもしれません。

コーヒー器具は気分が上がるものを選ぶのがベストです。

まとめ:磁器製ドリッパーはいいぞ

というのが結論です。

予熱が必要だし少々気も遣うので、休みの日にゆっくりしたい時だけ陶器・磁器を使うのもオススメです。

味だけでなく、風合いでもドリップタイムを彩ってくれます。

シーンによって器具を選ぶのもコーヒーの楽しみの一つ。そしてドリッパーはいくつ持っていてもいいものです。

ちょっと豊かなコーヒーライフ、ドリッパーから始めてみませんか。

この記事の著者

炭田 航希

1990年6月5日神奈川県生まれ。29歳の時に珈琲と出会い「やっと生きる道が見付かった」と確信。現在は愛ヤギのティピカと共に四国山奥の古民家に暮らす。日々珈琲の焙煎に励み、ウェブでも販売。全国のコーヒーラバーのポストを良い香りにしている。

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