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オーガニックコーヒーって本当に身体にいいの?

オーガニックというと、身体や環境に優しい印象がありますよね。
コーヒー豆やコーヒー粉でも「オーガニック」や「有機」の表示のあるものが売られています。

この記事では、ごっちゃになりやすい「オーガニック」「有機」「無農薬」の違いを解説しつつ、
いち自家焙煎コーヒー店としてオーガニックコーヒーは本当にオススメできるか?をお伝えします。

まず、オーガニックとは?

農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品

農林水産省HPより https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html

つまり、化学肥料や農薬といった無機的なものではなく、魚粉や油粕などの動植物由来の肥料が使われた農作物を指します。


有機や無農薬とはどう違うの

有機とは?

有機というのはオーガニックの和訳ですので、ここでは同義と捉えましょう。

有機として販売するには、有機JAS規格という条件を満たし、認証を受けなければなりません。
認証を受けたものは、パッケージに有機JASマークを表示されることが出来ます。

また、認証を受けていない農作物が有機やオーガニックを謳うことは認められていません。

https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html

無農薬とは?

巷ではよく聞く「無農薬」ですが、現在パッケージにこの表記をするのは禁止となっています。
他にも「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」なども表示禁止です。

理由は、土壌に農薬が残留していたり他所から農薬が飛散していたりしても、それをチェックする基準や機関がないからと言われています。

しかし生産者が農薬や化学肥料を減らしても、消費者に知ってもらわねば努力も報われません。
そこで農林水産省の「特別栽培」に関するガイドラインで、以下のような表示が認められています。

農薬をまったく使用しない場合…「農薬:栽培期間中不使用」
節減対象でない農薬を使用した場合…「節減対象農薬(※):栽培期間中不使用」
節減対象農薬を削減した場合…「節減対象農薬:当地比◯割減」など

KAGOMEホームページより https://www.kagome.co.jp/vegeday/store/201702/6292/

ここまでのまとめ

オーガニック≒有機で、これを謳うには認証が必要。
無農薬という言葉が定義が曖昧なため、現在は使用しないのがルールとなっています。

オーガニックコーヒーのメリット

①地球環境に優しい

科学的に合成された肥料や農薬が使われていないので、土壌や河川、そして大気への悪影響を抑えられます。
そのためオーガニックコーヒーは地球環境に優しいと言えるでしょう。

②「一部の」オーガニックコーヒーは健康上の安心・安全性が高い

化学肥料や農薬の使用制限があるため、それら由来での健康リスクを回避できます。
また、JASの有機認証は厳しいです。

たとえばコーヒー豆の場合は、生豆が輸入された30kgなり60kgの原袋の状態では認証が下りても、5kgや10kgの小分け袋に移すと、JAS表示が出来ないケースが多いです。


もちろん中身は同じ生豆でも、です。
僕がお店を立ち上げた頃、これを知って驚きました。

あえて見出しに「一部の」と書いたのには理由がありますので、デメリットの項③で解説します。

オーガニックコーヒーのデメリット

①値段が高価になりやすい

有機の認証を受けるには、相応の費用がかかります。それに加え検査などにも時間がかかるため、その分のコストも上乗せして価格設定されます。

そうなると必然的に価格は高くなりがちです。

②一部のオーガニックコーヒーは味が劣ることもある

上にも書きましたが、認証を受けるには費用がかかります。

スーパーや専門店に豆を買いに行ったとしましょう。有機認証のコーヒー豆と、そうでないコーヒー豆が並んでいます。
これらが同じ値段だったとすると、有機認証の方は元々の豆の質が低い可能性が十分に考えられますよね。

③オーガニックコーヒーの方が健康リスクが高い!?

おそらくビックリする方がほとんどではないでしょうか。これにはきちんと理由があります。
慣行栽培(一般的な栽培法)されているコーヒー豆には、必要なだけの農薬が使われています。
病気を防いだり、害虫から実を守るためのものです。

この農薬が使われないということは、虫もつきやすいということです。
虫に食われて成長が止まってしまったコーヒーの実も収穫され、商品に混入されます。

結果的に虫食いを含む欠点豆の割合は増えることになるでしょう。
欠点豆こそが私たちの健康にとって一番の悪ですので、これが増えるのは大問題です。

オーガニックの生豆をいくつも扱ってきた私の経験上、やはり欠点豆が多い傾向は間違いなくあると言ってよいかと思います。
カビ豆の割合が高い銘柄もよく見られました。カビ豆は焙煎してしまうともう判別不可能です。
焼いたら大丈夫というものではありません。怖いですよね。

他の欠点豆も悲しいかな、焙煎され粉に挽いた状態になってしまうと、我々プロでも欠点豆を判別することはほぼ不可能です。

欠点豆の選別が段違いで大変なのも数多くありました。
それでも「唯一無二のこの味を届けたいから」と思わせてくれるものは、ハンドピックの鉄人と化し、皆さまにお届けしてきました。

しかし、割に合わず早々に販売終了してしまったものも多いのが実情です。

農薬は必要だから使っている

山で暮らし始めて3年。
近所の方のほとんどが、自分の畑で野菜を作ってます。
※この記事で使っている畑を含めた写真(有機JASマークを除く)も、すべて自前で撮影したものです。

農業として生計を立てるでもなく、皆さま主に自家消費がメイン。
そのため農薬を使わず消毒もしない方が多いです。
農薬や肥料は高いので、自家消費するならスーパーで買ったほうが遥かに安上がりというのもあります。

この3年間、農薬を使わないことによる本当にたくさんの悲鳴を聞いてきました。
「収穫目前のスイカが、全部ハクビシンにやられた。」
「田んぼをイノシシに荒らされた。イノシシが通ったところの米はニオイが取れないので捨てるしかない。」

畑を耕し、種をまき、除草もし、害虫と戦い、何ヶ月もかけて我が子のように育てるんです。
自然のものですから、上手くいく保証なんてどこにもありません。

上手く行って希望の光が見えても、最後の最後でイノシシやハクビシンにやられます。
奴らも一番美味しいタイミングを狙っていますから。

まだまだ小さいスイカの赤ちゃん かわいい


皆さん、本当にしんどそうな顔をします。当たり前ですよね。
そんな皆さんの苦労を見ていると、農薬が害獣や害虫から身を守ることになるなら… と思わざるを得ません。
農家さんとしてやっているなら尚の事、自分自身や家族の生活が懸かっていますからね。

さいごに

ここまで書いてきて、当店の姿勢を明らかにするならばこうです。

健康志向からオーガニックコーヒーを選ぶことはオススメしません。
それよりも欠点豆がしっかり取り除かれていること、そして火入れの偏りのない焙煎の方が
健康面でははるかに重要だと僕は考えます。

そもそも日本に入ってきている時点で、おそらくほとんどの方にとって残留農薬の量は無視出来るレベルです。

2021年に、インドネシア産のコーヒー豆に基準を超える残留農薬が、日本での検疫の際に認められたことがありました。
しかしそれは基準の3倍でしたが、一生涯8kgの生豆を毎日食べ続けても健康への影響はないと言える量という厚労省の見解でした。
とても現実的な量ではありませんね。

焙煎、熱湯での抽出を経て、農薬はさらに揮発・分解されると言われていますので、これをご覧の皆さまには是非安心してコーヒーを楽しんでいただきたく思います。

この記事の著者

炭田 航希

1990年6月5日神奈川県生まれ。29歳の時に珈琲と出会い「やっと生きる道が見付かった」と確信。現在は愛ヤギのティピカと共に四国山奥の古民家に暮らす。日々珈琲の焙煎に励み、ウェブでも販売。全国のコーヒーラバーのポストを良い香りにしている。

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