気温で変わる、飲みたいコーヒー|南インドカレーと北インドカレーから考える味覚の不思議

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季節で変わる、コーヒー豆の選び方〜南北インドカレーとの意外な共通点〜

佐礼谷の空気が秋めいてきました

9月に入りましたが、日中まだまだ暑くて、アイスコーヒーが手放せません。

その一方で、季節先取りの佐礼谷では、朝目覚めると無意識に布団をたぐり寄せる寒さで、

朝晩ガラッと空気が変わったように感じられます。

秋の空気を感じる佐礼谷の風景

蝉の声は止み、コオロギたちの声が夜を包みます。

そんな季節の変わり目にふと感じた、「気温とコーヒーの関係」について書いてみようと思います。

北インドと南インドのカレーの話から

人の味覚に絶対はありません。好き嫌いは人によってまちまちですし、一人の人間でもその時々によって食べたいものは変わります。

特に、気温によって食べたい物って変わりますよね。

夏は冷やし中華やかき氷、冬はおでんや鍋など。

単純にその料理が冷たい温かいもありますが、もう少し踏み込んでみましょう。

たとえば、インドのカレーは大きく分けて南北に分けて大きく異なります。

南インドカレーの特徴

南インドのカレー(ラッサムやミールスなど)、スパイス香る軽やかな料理

暑い暑い南インド。一年を通して気温30℃前後で湿度も高く、常に真夏の沖縄のような気候。

そこで好まれるのはサラサラでスパイシーなカレー。

タマリンドというフルーツが爽やかな酸味付けに使われるのも特徴です。

煮込み時間も短く、全体的に軽やかでサラッといただけます。

対して北インドのカレー

寒い北インドは意外と寒く、冬はざっくり東京より3-5℃暖かいくらい。

主流は濃厚でバターたっぷりのカレー。

酸味付けに使われるヨーグルトは、マイルドでもったりしています。

カシューナッツやアーモンドなどのナッツも使われ、

煮込み時間も長いので、しっかり濃厚です。

北インドのカレー(バターチキンなど)、ナッツやヨーグルトで濃厚に仕上げた料理

それぞれの土地の気候が、自然と食のスタイルを決めているのが面白い。

実はこの違いって、コーヒーにも似ているなと常々感じています。

気温によって飲みたくなるコーヒーは変わる?

きっと皆さん、気温によって「今日はこれが飲みたいな」と思うコーヒーが自然と変わりませんか?

夏の暑い日には爽やかで軽いもの。浅めのロースト。

深煎りもいいですが、コクよりキレ重視が良いかもしれません。

アイスコーヒーにもピッタリですね。

朝の光を受けて輝くコーヒー

肌寒い秋の朝には、まったりと深みのある一杯が恋しくなる。

浅煎りの出番は少しずつ減り、気づけば深煎りを手に取りがちかも。

深煎りでボディ感がしっかりと感じられる方が、落ち着きをもたらしてくれますね。

お気づきかと思いますが、暑い夏に飲みたくなるコーヒーは、暑い南インドのカレーと特長が重なります。

肌寒い季節のコーヒーは、北インドのカレー。

下に、そんな「気温とコーヒーの関係性」を簡単に表にまとめてみました。

項目夏に飲みたいコーヒー冬に飲みたいコーヒー
舌触り軽やか / さらりとろみ / まろやか
濃度感透明感のある / すっきり濃厚 / フルボディ
ロースト度中浅煎り〜中煎り中深煎り〜深煎り
香り柑橘系 / フローラル /チョコ / ナッツ /
酸味爽やかに強め控えめ〜まろやか
甘さフルーツ感のある甘さ(ドライマンゴー、白桃)コクのある甘さ(黒糖、キャラメル)
飲み方アイス / 水出し / トニック割りホット / ネルドリップ / カフェオレ
おすすめ豆例エチオピア / パナマ / アジアグアテマラ / スマトラ / 南米

この季節にぴったりな、おすすめのコーヒー

そんな季節の狭間にある今、僕からふたつのコーヒーを提案します。

昼間はまだ夏。朝晩はもう秋。どちらにも寄り添えるような一杯を。


まだまだ暑い日中におすすめ

「華やかなコーヒー」の代名詞でもあるエチオピア。

同国でも大変質の良いコーヒーが生産されるグジで穫れたコーヒーです。

ナチュラル精製といって、収穫した実の状態のままで数週間天日干しにされます。

そのため、甘い香りが口いっぱいに広がりますよ。


暑さ和らぐ朝晩にオススメ

エチオピアとは打って変わってあまり馴染みのないであろうボリビアですが、ここは当店に任せてください。

今やどんどん流通が少なくなるティピカ品種です。病気に弱く収量も少ないですが、味はピカイチ。

こちらも「丁寧に作られているなあ」と感じさせるロット。

まったりとした舌触りと豊かな甘味は、この時期にピッタリ。

秋の夜長に届くデカフェ

秋と言ったら、夜を楽しむ季節でもありますね。

本を読みながら、映画を読みながら。

カフェインを気にせず、いかがでしょうか。

日本もインドも、場所は違えど気温によって欲するものが変わる。

人体の神秘みたいでちょっとワクワクしますね。

あなたの「今」にピッタリなコーヒーが見つかりますように。

この記事の著者

炭田 航希

1990年6月5日神奈川県生まれ。29歳の時に珈琲と出会い「やっと生きる道が見付かった」と確信。現在は愛ヤギのティピカと共に四国山奥の古民家に暮らす。日々珈琲の焙煎に励み、ウェブでも販売。全国のコーヒーラバーのポストを良い香りにしている。

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